資産承継

相続税節税の基本 ~生前贈与の活用~

相続税対策には、様々な手法があります。まずは確認すべき相続税対策の基本を考えます。
対応策はケースバイケース。メリット、デメリットを勘案しつつ総合的に判断することが重要です。

贈与税の基礎控除 110万円を活用する(暦年贈与)

贈与税は、受贈者1人あたり年間110万円の基礎控除があります。贈与者と受贈者との間柄に制約はなく、子や孫、子の配偶者(嫁)に其々110万円を贈与することも可能です。
贈与税は1月~12月分を翌年3月15日までに受贈者が納付します。

 <メリット>
 ・孫への贈与の場合は世代飛ばしになり、2世代にわたる相続税の軽減につながります。

 <デメリット>
 ・相続開始前3 年間以内の相続人等への贈与は相続財産に加算となります。
  そのため早めの実施が有効です。

 <ポイント>
 ・祖父母が孫名義の預金口座を開設し、お金を積み立てる「名義預金」は税務調査で
  問題となります。名義預金とみなされないよう、贈与の事実を客観的に残すことが
  重要です。
   ①贈与契約書を作成する。(受贈者が未成年の場合は特に必要)
   ②受贈者が普段から使用している通帳に入金を行う。
   (子や孫名義の通帳預金の印鑑がすべて同一であったり、
    通帳の管理者が受贈者でない場合は、名義預金を疑われます)
   ③贈与税の申告を行う。

 ・いわゆる定期の贈与。例えば、10年間100万円ずつ贈与を行うと約束した場合、
  合計金額の1,000万円がもらえる贈与契約が成立したとして、一般贈与であれば、
  125万円、特別贈与であれば90万円の贈与税が一括して課税されてしまいます。
   【特例贈与】 20歳以上の受贈者が父母・祖父母などの直系尊属から贈与により
          財産を取得した場合
   【一般贈与】 特例贈与財産以外の贈与財産を取得した場合

配偶者への居住用不動産等の贈与税の特例を活用する

婚姻20年以上の夫婦間での居住用不動産やその取得資金を贈与した場合に、2,000万円の特別控除があります。例えば、現在の自宅のうち、2,000万円部分を贈与(共有持ち分でもOK)すれば、贈与税の課税なしに相続財産を削減できます。
 
 <メリット>
 ・相続開始前3年以内の贈与でも、相続財産には加算されません。

 <デメリット>
 ・贈与には登記費用や不動産取得税がかかるため、節税効果を見極める必要があります。
 ・相続税の期限内申告が必要です。

 <ポイント>
 ・自宅の不動産については、相続税では「小規模宅地の評価減」や「配偶者控除」
  があり、節税の効果が限定されます。この特例を活用した贈与を行う前に、
  相続税を試算するなどの検討が必要になります。

まとまった額の財産を贈与できる相続時精算課税制度を活用する

相続時精算課税制度では、60歳以上の父母や祖父母から18歳以上(年齢は贈与があった年の1月1日を基準)の子や孫に対して贈与する場合に、合計2,500万円まで控除があります。つまり、子や孫に対する合計2,500万円までの贈与なら、贈与税はかかりません。(贈与が令和4年3月31日以前の場合は、贈与を受ける子や孫は20歳以上である必要があります。)

 <メリット>
 ・暦年贈与の場合は、年間110万円の控除しかありませんが、合計2,500万円の
  控除がありますので、贈与税の負担を気にせずにまとまった額の財産を贈与できる
  ことがメリットです。
 ・2,500万円を超えた部分については、一律20%の税率で贈与税が課税されますが、
  暦年贈与よりは贈与税が安くなります。

 <デメリット>
 ・一度相続時精算課税制度を選択すると、暦年課税には戻せません。
 ・年間110万円以下でも贈与税の申告が必要となります。
 ・贈与時に税金がかからなくても、相続発生時には生前贈与分を含めた全ての財産を
  相続財産として課税されます。
 ・小規模宅地等の特例が受けられません。被相続人と一緒に住んでいた土地を相続人が
  相続する場合は、相続税が最大80%減額となる制度を「小規模宅地等の特例」といいます。
  この特例が、生前に贈与した土地には認められないのです。
 ・生前贈与を受けた財産は物納ができません。
 ・不動産の生前贈与では、登録免許税が相続に比べて高く、不動産取得税も発生します。

相続税対策は、専門家と相談の上総合的に判断して、早めの準備がなにより大切です。

前述した「受贈者が未成年の場合の贈与契約書のサンプル」を参考までに掲載します。

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更新日 2022年3月10日(木)6:00

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